外科疾患
泌尿器疾患
膀胱結石
犬、猫ともにストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)、シュウ酸カルシウム結石などが多くみられます。
尿路感染・食餌・飲水量・ホルモン疾患・遺伝的要因などが関与しています。
慢性的な出血や痛み(頻尿)がみられ、小さな結石が尿道に詰まると尿が出なくなり急性腎不全により命にかかわる事もあります。
ストルバイト結石は感染のコントロールや療法食などで溶解することができますが、シュウ酸カルシウムは溶解することができないため、外科的な摘出が必要です。
レントゲン
膀胱結石
ストルバイト結晶
生殖器疾患
子宮蓄膿症
6~7歳以上の中高齢の未避妊の雌に多く見られます。
多飲多尿、食欲の低下などの症状がみられます。
進行すると大量の細菌の毒素が全身に広がり、敗血症、多臓器不全となり死に至ります。
診断
■外陰部からの排膿の有無
■血液検査
■レントゲン検査
■腹部超音波検査
治療
卵巣子宮全摘出手術を実施します。
進行してDIC(播種性血管内凝固症候群)や子宮破裂を伴えば、手術のリスクが著しく高くなります。
出来る限り早期摘出手術が有効です。
レントゲン
卵巣子宮全摘出術
子宮内容物
ヘルニア疾患
会陰ヘルニア
中高齢の未去勢のオスに発生しやすい病気です。
肛門まわり(会陰部)にある筋肉が萎縮することで、その隙間から直腸・膀胱・前立腺などの腹腔内臓器が脱出し、肛門の横が腫れてきます。
また脱出する臓器により様々な症状がみられるようになります。
診断
■直腸診
■レントゲン検査
■腹部超音波検査
治療
進行性の病気なので、早期に外科手術が必要です。
また去勢手術も同時に行います。
会陰ヘルニア
腫瘍疾患
乳腺腫瘍
中高齢の未避妊のメスに発生しやすい病気です。
腫瘤の大きさは様々で、進行し自壊や転移するまではほぼ無症状です。
また悪性、良性の診断には術後の病理検査が必要です。
そのため早期に外科的切除を実施します。
また生後1~2歳までの避妊手術は、乳腺腫瘍の発生率を大きく下げることができます。
乳腺腫瘍症例① 乳腺腫瘍症例②
脾臓腫瘍
高齢の犬でみられる事が多い腫瘍です。
腹囲膨満、食欲不振、体重減少など非特異的な症状がみられる事もありますが、末期になるまでほとんど症状を伴わない事が多く、どうしても発見が遅れてしまいます。そのため中高齢で元気な子で、健康診断や他の疾患のための超音波検査などで偶然発見されることもあります。
「脾臓腫瘍の3分の2が悪性腫瘍」といわれるほど悪性の割合が高く、早期の外科的摘出が望まれます。
脾臓摘出術
その他
大腿骨頭壊死症
1歳未満の小型犬の子犬に発生しやすい病気です。
明確な原因は分かっていませんが、大腿骨頭への血流減少により、股関節に重度の痛みを伴います。
そのため徐々に患肢を使わなくなり、筋肉の萎縮がみられます。
診断
■レントゲン検査
治療
大腿骨頭切除術
大腿骨頭切除前
大腿骨頭切除後